数字は問いへの答えにすぎない
記事や広告に出てくる統計の数字は、誰かが立てた問いへの答えです。だから数字そのものより先に、何を、誰について、どうやって測ったのかを問う必要があります。同じデータでも、どの指標を選ぶかでまったく違う印象を与えられますし、数字が間違っていなくても誤解を招くことがあります。この記事に出てくる数字はすべて原理を説明するための架空の例で、実際の調査結果ではありません。
平均と中央値、相対リスクと絶対リスクを区別するだけで、記事の数字にだまされにくくなります。架空の例で順に解説します。
記事や広告に出てくる統計の数字は、誰かが立てた問いへの答えです。だから数字そのものより先に、何を、誰について、どうやって測ったのかを問う必要があります。同じデータでも、どの指標を選ぶかでまったく違う印象を与えられますし、数字が間違っていなくても誤解を招くことがあります。この記事に出てくる数字はすべて原理を説明するための架空の例で、実際の調査結果ではありません。
平均はすべての値を足して個数で割ったもの、中央値は値を大きさ順に並べたときに真ん中にくる値です。値が均等に散らばっていれば両者は近くなりますが、とても大きな値がいくつか混じると平均だけが引き上げられます。例として、社員四人の月給が20万、22万、25万、28万円で、社長が200万円なら、五人の平均は59万円ですが、中央値は25万円です。所得や住宅価格、資産のように片側に長く伸びたデータでは、中央値のほうが普通の人の姿に近くなります。
ある習慣が病気のリスクを50%高めると聞くと怖く感じますが、もともとのリスクがわからなければ判断できません。例として、千人に二人がかかっていた病気が千人に三人になったなら、相対的には50%増ですが、絶対的には千人あたり一人増えただけです。逆に、もともとのリスクが大きければ、同じ50%がはるかに多くの人に影響します。相対リスクを見たら、必ず基準となる元の確率も探しましょう。薬や治療の効果についても同じで、リスクを半分に減らしたという話が実際には何人中何人の差なのかを確かめると、受ける印象は大きく変わります。
割合どうしの差を言うときによく起きる混同です。例として、ある割合が10%から12%になったなら、2パーセントポイント上がったことになり、元の値に比べれば20%上がったことになります。どちらの表現も正しいのですが、与える印象は大きく違います。金利や支持率、失業率のように、もともと単位がパーセントの数字の変化はパーセントポイントで言うのが正確です。記事で両者が混ざっていたら、どちらの意味かを確かめる習慣をつけましょう。実際の記事では、どちらの表現を使うかで同じ変化が小さくも大きくも見えることを意識して読めば十分です。
調査結果は、調査に参加した人たちについての話です。特定のサイトの訪問者だけに聞いた場合や、自分から回答を申し出た人だけを集めた場合は、全体を代表しているとは言いにくくなります。回答者が少なすぎると、偶然によって結果が大きく揺れます。調査期間、方法、回答者数、誤差の範囲が書かれているかを確かめ、誤差の範囲内の差は実質的に差がないと読むほうが安全です。
二つの数字が一緒に上下しても、片方がもう片方の原因だとは限りません。たとえば暑い日にはアイスクリームの売り上げと水難事故がともに増えることがありますが、アイスクリームが事故を招くのではなく、暑さという第三の要因が両方を動かしているのです。原因と結果が逆のこともあれば、単なる偶然のこともあります。因果を語るには、ほかの要因を統制した研究デザインが必要だと覚えておきましょう。
同じ数字でも、グラフの形によって受ける印象は変わります。縦軸がゼロから始まっていなければ小さな差が大きく見え、都合のよい期間だけを切り取れば傾向が逆に見えることもあります。累積グラフは常に上がり続けるため、伸びの鈍化を隠してしまうこともあります。グラフを見たら、まず軸の始点と単位、期間を確認し、できれば元の数字の表もあわせて見ましょう。
統計を疑えというのは、すべてうそだと思えという意味ではありません。数字が何を語り、何を語っていないかを区別しようということです。次の問いを習慣にしてみてください。
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